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総合保険代理店の視点から10月改訂のポイントを解説

総合保険代理店の視点から10月改訂の ポイントを解説 | 加盟店様の声 | 一般社団法人 日本住宅保全協会
2022年10月1日以降を保険始期日とする契約を対象に、保険各社で火災保険規約が改定されました。どのような対応が必要になるのか、悩んでいる担当者も少なくないでしょう。そこで日本住宅保全協会では2022年9月20日(火)、建設業専門特化型の総合保険代理店である株式会社フィッター(東京都渋谷区恵比寿)から講師を招聘し、解説セミナーが開催されました。火災保険を取り巻く環境が変化する中で住宅事業者として知っておくべきこと・注意すべきことをまとめます。

講師:株式会社フィッター専務取締役 青柳岳史氏
司会:一般社団法人日本住宅保全協会 理事 深川真樹

4つの改訂と具体的な内容、住宅事業者として知っておきたい注意点

保険会社から保険代理店などに対し、本年10月からの保険新規加入者に対して火災保険の規約改定が適応されると通達されました。

住宅業界における大きな改定要素としては4つあります。
1.保険会社の免責事項の拡大
2.保険金の使途が限定
3.保険金の支払の時期の変更
4.悪質業者の認定

1.保険会社の免責事項の拡大

釘抜け、スレート割れなど生活に支障のないレベルの破損については免責となります。

深川協会の見解としては、あくまでも火災保険の適用、非適用は保険会社による判断であり、そのスタンスは変わりません。したがって、引き続き被災の可能性があるものについては保険の申請を行っていくことになります。この点についていかがですか?
青柳従来も生活に支障のないレベルの破損については免責となっていたケースはありましたから、特に明確に約款に入ったからといって大きくは変わらないと考えます。

2.保険金の使途が限定

今まで保険金については被保険者の判断に委ねられていましたが、以後は保険金受領の条件として修繕義務が発生します。

深川協会の見解としては、修繕義務が発するとありますが、弊協会および加盟店においては、原則工事を行うことを前提としてお客様の保険申請をお手伝いしているため、むしろ我々にとっては追い風と判断しています。
青柳私もこれまであいまいだった工事が義務化されたことは、工事会社にとっては追い風になると考えます。
深川参加者の方から質問です。修繕前よりもグレードをダウンする場合、保険金は減額されるのでしょうか。
青柳あくまで損害保険ですから、損害に応じて支払われます。グレードを下げるのであれば、保険金の減額もありうると思われます。今までは工事しなければ受け取った保険金の7割を工事会社に支払うというケースもありえましたが、今後は工事に見合った金額を受け取り、全額工事にあてるということになります。

3.保険金の支払の時期の変更

2にともない保険金の支払い時期は、10月以降の保険契約については原則として(例外は、保険会社が認定した場合に限る)修繕が完了した段階で実行されます。10月以前の契約に関する保険金の支払時期は従前どおりの可能性が高いですが、保険会社の対応を注視していく必要があります。

深川協会でも保険会社の出方を注視していますが、10月以降になってみないと判断が難しいところです。どうお考えですか?
青柳約款次第ですので、保険会社によって異なってくると思われます。ただ、当社が把握している限りでは、10月以前の契約は従前のままではないかと考えています。

4.悪質業者の認定

悪質企業を排するため、被保険者に対して申請に至った経緯を説明する必要が発生します。

深川協会は悪質業者のように高額な手数料だけを受け取るサービスとは一線を画していますので、その点については保険会社に対してしっかりと主張していきます。
青柳そうですね。まっとうに仕事をしている方にとっては気にする必要はないと思います。

Q&A

深川ここからは参加者の方からの質問に対して青柳さんにお答えいただきます。


質問①
保険金の支払いのタイミングが修繕後になると、修繕費の方が支払われる保険金よりも高くなる可能性があると思いますが?

青柳保険代理店や保険会社に査定状況を確認しないで工事をしてしまうと修繕費の方が支払われる保険金よりも高くなる可能性はあると思いますが、確認しながら進めていけば、保険金がどれくらい下りるのかわかるので、保険金の支払いのタイミングが修繕後になったとしても影響はないと思います。査定で金額が決まってから工事に入ったほうが安心かもしれません。

質問②
悪質業社の定義が曖昧ですが、何がダメで、何がOKなのかはっきりしてほしいです。

青柳法律に違反しないということが大前提ですが、いま保険会社が注視している問題行為は5つあります。

① 勧誘…特定商取引法に定められている重要事項の交付や、契約書を交わしていない。
② 虚偽申告、破壊行為…Google Street Viewで数年前の建物の状況を確認されたり、保険加入時に損害状況の写真を提出していたりすることがあるのでご注意ください。
③ 非弁行為…代理請求、代理交渉は非弁行為に該当する可能性があります。
④ 暴利行為…30~50%の報奨金を対価として請求しないようにしましょう。
⑤ 違約金…キャンセルなどに対する高額すぎる違約金を設定しないようにしましょう。

これらを基礎に、担当者の印象も反映させながら、各社個別に悪徳業者のリスト作りをしていくと思われます。

質問③
保険会社各社の表現に「機能の喪失をともなわない損害」とありますが、その線引きは?

青柳ある程度の指針は各保険会社であると思いますが、保険会社は建築の専門家ではないので、保険会社が現場調査を依頼したアーキテクト(鑑定士)と言われる第三社機関の判断が最終的な判断になるケースがほとんどです。

質問④
保険金が支払われた際に、どうしても工事をしたくないとお客様が主張した場合は、施工事業者としてはどう対応すべきでしょうか?

青柳確認(確約)書を取っていれば保険金を事前に支払う保険会社もあるので、その場合はこういったケースが起こり得ると思います。ただ、工事の実施を前提に支払うものですから、工事をしなければ受け取った保険金を回収されることは考えられます。回収されるケースもあるということを情報として伝えておくと良いと思います。

それなりの理由でないと保険が下りない可能性があるので、保険会社の判断に任せるしかないと思います。例えば、自宅を売却するから修理しないということであれば、保険会社も修理しなくても保険金が下りるかもしれませんし、ただ、単純に修理しないということであれば、保険金が下りないので、だったら契約者も修理しようとなると思いますので、保険会社に判断を委ねるのもひとつかと思います。

質問⑤
大手保険会社の間では全て同じ内容の改定ですか?各社差はあるのでしょうか?

青柳若干の違いはありますが、外資系も含めて基本的には同じ改定となります。日系損保会社は「間口は広いが支払いに時間がかかる」、外資系損保会社は「間口は狭いが支払いはスピーディ」という傾向が見受けられます。

質問⑥
基本的に、修繕後に保険金が支払われるという流れとなりますが、例外的に保険会社が承認した場合には、修繕前に保険金が支払われるとあります。その保険会社が事前に承認するとはどういう場合なのでしょうか?

青柳保険会社に復旧を確約する確認書を提出することで復旧前の支払いが可能です。修繕費が高額で契約者が事前に負担するのが難しいといったようなケースで認められる可能性があります。

質問⑦
契約者が保険を使用すると、保険代理店にとってデメリットはありますか?

青柳お客様からもらっている保険料の総額の30〜50%以下に損害率(収入保険料に対して支払った保険金の割合)を抑えないと、代理店手数料に影響します。

質問⑧
過去に悪徳業者に騙されて保険修繕してしまったお客様がいた場合、その方も共犯として法的な責任を問われるのでしょうか?

青柳契約者が何も知らずに携わっていたのであればむしろ被害者ですから罪には問われないでしょうが、一緒に虚偽申告をしたのであれば同罪になりえると思います。

質問⑨
ブラインドなどの修繕は家財保険だと思いますが、家財保険も改定されるのでしょうか?免責金額などあるのでしょうか。

青柳基本的に同じ支払方法になります。免責は保険会社によって、または請求の理由によって異なります。保険証券と約款に記載がありますので確認してください。

質問⑩
すでに契約している火災保険が10月以降に契約更新となった場合、更新時に約款の変更がなければ、従来通りと考えてよいのでしょうか。

青柳10月以降の契約は、更新も含めて約款が変更されます。

プロフィール

株式会社フィッター
専務取締役 青柳 岳史

総合保険代理店の視点から10月改訂の ポイントを解説 | 加盟店様の声 | 一般社団法人 日本住宅保全協会
弊社は、中小・ベンチャー企業に特化した総合保険代理店です。 「お客様が安心して本業に専念できるように解決策を提供する」という企業理念のもと、お客様の業種に精通したコンサルタントが専任対応いたします。私は200社近い企業様を担当しておりますが、7割以上が建設企業様になります。

■建設業に特化しているフィッターに保険の相談するメリットや強み
・建設業の業務内容を把握している保険代理店から保険を加入することで、業種に見合った保険に加入することができる。
 └労災適用外の一人親方を補償する方法
 └下請け業者を利用する場合に必ずつけるべき特約(使用者賠償責任)
 └対物事故の際、修理費用が財物の時価額を超えた場合のその超過額を補償する特約
 └漏水など御社の責任なのか不透明なときに活用しやすい100万円限度の原因調査費用
・労災事故(骨折、熱中症など)や業務中の対人対物事故(第三者にケガを負わせる、漏水など)を毎月20件ほど対応。解決方法を熟知しているため、保険会社に丸投げすることなく保険申請をサポートしております。

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弊協会では今回の火災保険規約改訂について、弊協会の顧問弁護士および親交のある保険代理店と協議を行っておりますが、原則として今までのスタンスに変更はなく、継続して保険申請のサポートを続けていく所存です。

なお、今回の改定については悪徳業者の撲滅や追放に繋がると考えており、弊協会および加盟店様のように保険金が支払われた後に、しっかりとした修繕工事を行うことが悪徳業者との明確な差別化になると考えております。

今後も加盟店様の安定経営と業績向上に寄与できるよう努めてまいります。


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